仕事としての初めての映像制作!動画広告!クライアントとしてがんばる!編 scene8 構成案。映像制作会社と映像中身を決めていこう。cut2
の、続きです。
(まくら)
めっちゃネット使うんですよ。
どうしてもダウンロードしなきゃいけなかったり、会社にはWi-Fiあるんですけど、
家でもネット環境ととのえたいなとかありますが、あの何年契約とか工事とかいやでさらっとしてるやつがいいなぁって。
それでこれ使ってます。
SIMフリーのモバイルルーター。
モバイルルーターにSIMさして格安ルーターとして使えるやつです。
これだと、Wi-FiオンリーのiPadとかにも使えるんです。
そのままふつーのiPhoneにもWi-Fi接続で使えます。
Wi-Fiオンリーのタブレットでも使えます。
格安SIM×モバイルルーター×iPad(タブレット)。
ぜひ。
と、構成を壊すような構成でスタート。
世界の片隅でシナリオを書いている身としてはあるまじき。
◯映像制作会社・通された部屋
映像制作会社の人間と、動画の構成案について話し合っている
田戸江、野本、夢菜。
田戸江「やっぱり、音楽はラッドに依頼したいですね」
野本「予算オーバーだね」
夢菜「あたしは結婚式で、RADWIMPSの有神論オープニングでかけたい」
田戸江「全然、前世から無理っぽいですよねウケる」
野本「最近ピザ食べすぎで太ってるんだから頼むよ、田戸江」
夢菜「野本先輩、安心して。あたし、田戸江の言葉はまったく届かなくなったから」
田戸江「夢菜先輩、自分さみしいっす」
野本「うん、とりあえず出先のあいだは聞こえなくていいな、そのほうがいい」
夢菜「よくハリウッドの超お金使ってる映画ってオープニングで誰か死ぬじゃないですか」
野本「ああ、いるよね、あの、釣竿垂らしてて」
夢菜「そうそう、海から巨大な生物でてきて」
田戸江「ミスチルが聞いたら怒りますよ」
夢菜「田戸江くん、最初に死ぬ役がいいと思う、なんか一人で足滑らせて海で溺れて死ぬやつ」
野本「それは……怪獣が……」
夢菜「んーん。全然ストーリーと関係ないの。ただ長回し?っていうのかな、30分くらい生放送風で溺れてるの、で死ねばいい」
野本「うん。ストーリーと関係なく30分はよくないな」
田戸江「ぼくなぜか水泳だけは得意なんですよ球技はほんと苦手なんですけど」
夢菜「あ、じゃあ野球やってバットで看護師に殴られてリアルに頭から血が流れる」
野本「うん、リアルはだめ」
夢菜「え、でも結構簡単に血って流れないですよ」
野本「うん、経験談」
夢菜「しかも、出ると流れるっていうか、ほんとピューってなるのアハハ」
田戸江「タランティーノみたいな感じ?」
夢菜「タランティーノの映画くらいでるんですよ、ほんとですよ!」
野本「うん、でも血はさ、今回おめでたい席だし、取引先の50周年パーティーだし、ほら、もっと感動的なさ」
夢菜「あたし、看護師の格好できたら感動だな」
野本「やっぱりバット振るのは夢菜さんなのね」
田戸江「なんか、俺全然つまんないなぁ」
野本「田戸江!」
田戸江「結局、捨てきれてないんすよね、自分のやりたいこと。映像って見る人のこと考えなきゃダメじゃないっすか。そんな自分の欲つよいとかカルト映画とるわけじゃなくて、もしジャンルわけするなら商業映画だし、エンタメだし、血とかスターウォーズ流れないし。俺ジェダイ憧れだし。そんな構成っつーか初歩的なこと?そこんとこわかってないとか、まじ無知、ムチムチ」
夢菜、近くにあった撮影用の大きな三脚で田戸江の後頭部を思いっきり殴る。
野本、吹っ飛び、気を失う。
夢菜「ね、血でないでしょ?」
野本「お、おい田戸江、気失ってるぞ」
夢菜「編集すればどうにかなるでしょ」
野本「いやいや」
夢菜「寝てるやつが悪いんだよ」
野本「……ピザ」
夢菜「あんたぁ知ってるがしらんけど、女は起こす気のない男を寝かすのがうまいんだよ!覚えとけ!」
野本「……はい」
夢菜、財布から札を何枚か取り出し宙に放る。
夢菜「いつもご馳走になって悪かったね。氷でも食べて帰んな」
野本「はい、すみません」
夢菜「あたし撮影のためならスミいれる覚悟だよ、野本の部長さん」
野本「いや、もうほんとごめんなさい」
夢菜「頭割れるくらい考えたんだよ、きっと田戸江くんもさ。それでもなかなか答えはでないし、その気持ちはわかるよ、あたしだって蒸発するくらい考えたんだから。野本もそうだろ?」
野本「はい、何も言うことはありません」
夢菜「本当は知ってるんだ。捨てなきゃいけないときがあるって」
野本「……」
夢菜「捨てられるかな……わかってできてりゃこんなとこいない……ふふ、帰りましょ」
野本「はい、あ、田戸江」
夢菜「ゴミは分別していきなさいね」
夢菜、出て行く。
夢菜「あたしのここの歩き、長回しでね」